2005年2月

 このページではテレビで放送されたボクシングの試合を、酒を嗜みながらふらふら書きつづっていこうと思います。評価にはかなりの偏りが生じる可能性がありますが、ま、そこはそれ、ご容赦ください。

2月24日 「幻の瀧 うすにごり」を嗜みつつ
スーパー・バンタム級4回戦
人見 斉光 4RTKO 川田 栄作
 いきなり激しい打ち合いに突入するこの日の第1試合。両者とも似たような打ち筋のパンチを繰り出す。先手をとったのは人見。一発をきっかけに川田を後退させる。頭をこすりつけての打ち合いが続くが、的確に捉えているのは人見。時折深く入るボディに川田の体がくの字に折れる。最終ラウンドは両者残る力を振り絞っての我慢比べ。そして崩れ落ちたのは川田だった。レフェリーが川田を抱きかかえるように割って入って試合終了。人見の勝ち。両者ともなかなか根性ありそうだな。

ライト級6回戦
太田 篤志 判定 佐久間 将
 経験豊かな、だが、あとがない二人の対戦。様子見から一転、激しいフックの打ち合いが始まる。やや距離をとる佐久間を太田が追う。押されっぱなしを嫌ったか、第3ラウンドに入ると佐久間が足を止めて打ち合いを受けてたつ。が、接近戦は太田に分があるようで、佐久間の右目尻からの出血も激しさを増してゆく。第5ラウンドも佐久間の連打で幕を上げるが、じわじわと盛り返してゆく太田のパンチが的確に佐久間を壊してゆく。最終ラウンドはしょっぱなから太田の連打が炸裂。一気に佐久間を追い込むかに見えたが、意外にもロープに詰まったのは太田。仕切りなおしたところから再び太田のパンチが佐久間を捉えつづけて試合終了。判定で太田の勝ち。

フライ級6回戦
山中 力 判定 岡田 正継
 日本ランク入りを目指す両者が火花を散らす。山中のプレッシャーを巧く岡田がいなしつつ、パンチを放つ。試合は互角の打ち合いを呈しつつ進んでいくが、時折いいパンチを叩き込むのは山中。第4ラウンドのボディでは岡田の動きがぴたりと止まった。それでも致命打はなんとかかわしつづける岡田。最終ラウンドも手数で山中の猛攻をしのぎつづける。判定で山中の勝ち。

ウェルター級6回戦
養田 竜輔 3RTKO 寺田 千洋
 長身を生かして距離を操る寺田は、養田の間合いを外しにかかる。が、第2ラウンド、養田の左フックが火を噴いた。のけぞるように倒れこむ寺田。なんとかこのラウンドをしのぎきって再び距離を支配しにかかる。しかし、ダメージは抜けきらなかった、というよりも、これで養田がリズムにのってしまった。第3ラウンド、一気にロープにつめたところへ強烈な右ストレート。ロープから跳ね返ったあと、よろけて崩れ落ちる寺田。立ち上がるもののレフェリーは試合続行不可能と判断して試合終了。養田のTKO勝ち。じっくり追い詰めて仕留めるあたりはかなり期待できる。

スーパー・バンタム級8回戦
下田 昭文 8RTKO 白石 拓磨
 スピードに定評のある下田。白石を中心に円を描きながらパンチを放つ。これに対抗するために白石が出したパンチに、下田の右フックがカウンターでヒットした。棒立ちになる白石。その後、果敢に前に出る白石だが、スピードで距離を支配され、思うようにパンチを当てることができない。逆にカウンターをとられてコーナーに詰められる場面もしばしば見られたが、強引に手を出してピンチを逃れる。中盤を過ぎても一方的にパンチを当てる下田。しかし、白石は怯まない。打たれたら打ち返す勢いで盛り返してゆく。見事な精神力だ。第6ラウンド、ついに下田の足が鈍りはじめる。優勢は変わらないものの、打ち合いに巻き込まれて、パンチをかわしきれなくなってきた。下田にしてみれば、なぜ倒れないか訳がわからなくなってるだろう。最終ラウンド、雑草の根性とエリートの意地。押し切ったのは下田だった。連打でロープにくぎ付けにしたところでレフェリーストップ。下田の勝ち。テクニックもさることながら、最後にあれだけの力を出せるのはたいしたものだ。それ以上に、圧倒的に不利な状況から根性で盛り返した白石も素晴らしい。いい試合だった。

フェザー級10回戦
ホルヘ・リナレス 1RTKO メルビン・アユドット
 ジャブの突き合いから試合は始まった。リナレス、パンチが切れてるな。第1ラウンド、ボディの連打から左右フックのコンビであっという間に試合を決めてしまった。メルビンにはもう少しがんばってほしかったが、あのコンビネーションを打たれてはしょうがないか。凄かった。

ウェルター級4回戦
前川 洋昭 4RTKO 飯塚 ひろき
 重たいパンチの叩きつけあいになったこの試合。第2ラウンド、前川の右ストレートが飯塚をなぎ倒す。最初のダウン。立ち上がって手を出しつづけるが、クリーンヒットは前川のほうが多い。ところが第3ラウンド、もみ合いの中で飯塚のパンチが前川を捉える。蹈鞴を踏む前川。次第に当てた者勝ちの様相を呈してくる。しかし、徐々に積み重ねられてゆくダメージは隠し切れず、第4ラウンド、左アッパーから右ストレートのコンビが入った瞬間、レフェリーが割って入った。前川の勝ち。気力ごと押しつぶしたってところだな。

57.5kg契約級10回戦
粟生 隆寛 1RTKO 羅 相賛
 粟生が韓国ランカーを迎え撃つ。硬そうな拳を突き出す羅に対して、いつもの素早い動きでリズムを引き寄せる粟生。そして第1ラウンド、左ストレートがいきなり羅の顔面を打ち抜いた。マットに沈む羅。立ち上がるものの、試合続行は不可能と判断され、TKO勝ち。踏み込みのスピードとパンチ力はさすがジャパニーズ・ゴールデンボーイ。お見事でした。

フェザー級12回戦
マニー・パッキャオ 4RTKO ファーサン・3Kバッテリー
 いきなり猛攻を仕掛けるパッキャオ。フィリピン人キラーのファーサンは手を出しつつも後退せざるをえない。第2ラウンド、とどまることのないパッキャオの連打の中で、左フックがファーサンのこめかみを貫いた。最初のダウン。連打の速さと的確さにファーサンはまるでついていけない。パッキャオは荒っぽく見えるが、正確なジャブからの思い切ったビッグパンチは決して一発狙いではない、計算された攻撃になっている。第4ラウンド、左アッパーでファーサンの体を浮かせ、3度目のダウン。直後に畳み込んで4度目のダウンを奪ったところで試合終了となった。圧倒的な力の差を見せつけての勝利は今後に大きな期待をもたせる。とにかく強いわ。

スーパー・ミドル級4回戦
アンドレ・ウォード 2RTKO クリス・モリナ
 アテネオリンピックの金メダリスト・ウォードがプロのリングに立つ。プロの洗礼か、ラフな立ち上がりを見せた序盤戦、いきなりウォードがダウンを奪う。完全にスピード負けしているモリナ。第2ラウンド、飛び込みざまにもらったパンチで再びダウンを喫して、ウォードのTKO勝ち。スピードは凄い。もっと体を作って強いやつと戦ってからどうなるかだな。今後に期待ということで。

WBA世界スーパー・フライ級王座統一戦
アレクサンデル・ムニョス 判定 マーティン・カスティーリョ
 暴漢に膝を撃たれて思わぬブランクを作ってしまったというムニョスが復帰戦を迎える。必殺の間合いの一歩手前で手を出し合う両者。静かな立ち上がりとなる。中盤までペースを支配しているのはムニョス。だが、第4ラウンド、大振りの隙を狙われてマーティンが一気に攻め込んだ。右フックでムニョスがダウン。第5ラウンド、ムニョスは起死回生をかけた打ち合いに打って出る。が、最後の一発を当てるのはマーティン。次第にペースが変わりはじめる。コンパクトなコンビネーションを放つマーティンの方が試合を支配しはじめる。第8ラウンド、再びムニョスのダウン。完全なクリーンヒットではないのだが、下半身がついてこない。ムニョスの焦りが見える。挽回をはかって強引に前に出るのだが、乱打戦の的中率はマーティンの方が明らかに上だ。最終ラウンド、マーティンが試合をまとめにはいる。軽やかにフットワークを使いながら、ヒットアンドアウェイでムニョスをさばく。判定でマーティンの勝ち。マーティンのテクニックが光った試合だった。

OPBFライト・フライ級タイトルマッチ
山口 真吾 判定 嘉陽 宗嗣
 一発の迫力で圧倒する山口に対して、嘉陽は手数で勝負に出る。テクニックでは嘉陽が上なのだが、接近戦でのボディとノーモーションで繰り出される右にペースは次第に山口の手中に。嘉陽は山口のいきなりの右になかなか反応できない。後半にはいると、嘉陽は足を止めての打ち合いに引きずり込まれてしまう。それでも、なんとか打ち崩されまいと手数で応戦し、そのまま判定へ。両者、クリーンヒットの応酬にもかかわらず、果敢に前に出る姿勢に燃えた。いい打ち合いだった。

IBOライト・ヘビー級タイトルマッチ
アントニオ・ターバー 判定 グレンコフ・ジョンソン
 試合開始のゴングからいきなりプレッシャーをかけるジョンソン。ぐいぐいと距離を詰め、ターバーをロープ際に追い込んでゆく。ターバーは落ち着いてさばこうとするのだが、一度勢いのついたジョンソンの出足を止めることができない。ジョンソンのもぐり込んでのボディがターバーの腹を抉る。ターバーは下がりながらパンチを放っているが、その手数をものともせずに、ジョンソンは重い一発を叩き込んでくる。第4ラウンドにはいると、ターバーはかなりボディをいやがっているのがわかるようになる。第5ラウンド、ジョンソンが次第に上にパンチを散らしはじめる。ボディで気を逸らしておいて、顔面に狙いを定める、基本的な戦法だが、劣勢に立たされているターバーにとっては基本こそ驚異だろう。ところが第6ラウンド、ジョンソンの目尻負傷をきっかけにターバーがギアをあげる。ここでペースを戻そうという思惑なのだろうが、一瞬ひるんだジョンソンはすぐに態勢を立て直してくる。折り返し点を過ぎると、両者に疲れが見えはじめる。ターバーはボディが効きいて上体が折れはじめ、ジョンソンは、打ち疲れで上体が立ちはじめた。こうなると、純粋にクリーンヒットの数が目立ちはじめる。いままでジョンソンの突進でかき消されていたターバーのクリーンヒットが、ここへきてポイントを稼いでいる。しかし、追いつめるのは相変わらずジョンソン。ジャッジもこれを裁くのは一苦労だろう。最終ラウンド、お互い、最後の力を絞り出すようにパンチを出し合う。精神力の勝負。そして試合終了のゴングが鳴った。判定でジョンソンの勝ち。最後まで前に出続けて、戦前の不利を覆したジョンソン。素晴らしい。

WBC米大陸・WBA北米ヘビー級王座決定戦
マイケル・モーラー 10RKO ワシリー・ジロフ
 ヘビー級とは思えないような鋭いパンチの応酬が始まった。手数ではほぼ互角の打ち合いなのだが、体格の差が出てしまっている。ジロフのいいパンチが決まった直後、ものともせずに強打を振るってくるモーラー。じわじわと前進をはじめる。第3ラウンド、モーラーの不可思議なダウン。ヘッドバッド?一応その直前のボディでダウンと判断したようだ。しかし、実際ジロフのボディは強烈だ。鋭くモーラーの脇腹を抉る。中盤、ジロフはボディワークに加えて手数を集めてモーラーに対抗するが、体全体から発せられるプレッシャーはモーラーの方が上。一発勝負になればモーラー有利だろう。第8ラウンド、強引に打って出るジロフに、じりじりと後退させられるモーラーだが、下がりながらの一発がジロフの膝を揺らす。まだまだわからない。そして第10ラウンド、ついにモーラーのパワーがジロフをマットに沈める。やはり後手に回ってからの連打だったが、打ち終わって失速したジロフに、最後は左の打ち下ろしが突き刺さった。それ以上に、ダメージの蓄積があってのあの倒れ方だったのだろう。ヘビー級の壁を見たような気がした。

フライ級10回戦
亀田興毅 1RTKO ヨードゲン・シンワンチャー
 ゴングと同時に襲いかかる亀田。うわさどおりのアグレッシブファイトだ。なんとか踏みとどまろうとするヨードゲンだが、ポーカーフェイスとは裏腹に手がすくんでパンチに伸びがない。あれだけの強打を前にするとしょうがないが、亀田の凄いところは、あれだけの強打にもかかわらず体の軸がぶれていないことだ。強打のあとにすぐ強打が続いて出てくる。そしてあっという間の予告ノックアウト劇。コーナーに追い詰めてから放った左右の連打がヨードゲンの顔面を打ち抜いた。右ストレートの直撃でKO勝ち。相手に不足がなかったかどうかすらわからなかったが、とにかく勢いはある。どこまで昇りつめられるか楽しみだ。

日本バンタム級タイトルマッチ
サーシャ・バクティン 判定 熟山竜一
 最初見たときは完璧かと思ったバクティンだけど、意外と歩みは遅い。試合間隔が長いのは相手がいないからか?相変わらず速くて正確なバクティンのジャブが走る。熟山は右ストレート、バクティンは右アッパー狙いか。折り返し点を過ぎた第6ラウンド。両者、紙一重で互いのパンチをすり抜けるが、やや優勢に進めつつあるのはバクティンだ。細かいパンチを上下に散らして、熟山の迷いを誘っている。終盤に差し掛かっても展開は変わらない。むしろ、さらにギアを上げてくるバクティン。パンチはさらにキレを増していく。熟山もなんとか一矢を報いようとするが、すべてはバクティンの掌の上といった感じで、完璧にあしらわれたまま試合終了。バクティンの勝ち。倒すことはできなかったが、完璧なボクシングを展開したバクティン。精密機械そのものだった。

2月3日 「一ノ蔵 特別純米酒」を嗜みつつ
WBA世界スーパー・バンタム級タイトルマッチ
マヤール・モンシュプール 6RTKO ヨーダムロン・シンワンチャー
 いきなり頭を押し付けての打ち合いを挑むモンシュプール。対するヨーダムロンはやや下がりながらも強いパンチでモンシュプールの前進を止めようとする。左右フックの打ち合いはモンシュプールに分がありそうだ。第2ラウンド、足を使ってモンシュプールの突進をかわす戦法に変えたヨーダムロンだが、がっちりとガードを固めて突き進んでくる圧力にじわりじわりと追い詰められてゆく。特にガードの隙間に滑り込むアッパーが素晴らしく的確だ。中盤に入り、時折ヨーダムロンのカウンターがモンシュプールを捉えるが、あとが続かず、結局、倍返しされてしまっている。第6ラウンド、ヨーダムロンが勝負に出る。自分から頭を押し付けて挽回を計るが、コンビネーションで打ち抜かれたリバーブローで最初のダウンを喫する。悶絶。かろうじて立ち上がるものの、再び連打に巻き込まれたところでレフェリーが割って入った。モンシュプールのTKO勝ち。よく耐えたが、ヨーロッパ勢らしからぬ、しつこいボクシングを展開したモンシュプールに歯が立たなかった。強い。

WBC世界スーパー・バンタム級タイトルマッチ
オスカー・ラリオス 判定 ナデル・フセイン
 試合は強打の応酬で始まった。ストレート中心のミドルレンジでの打ち合い。ラリオスが先手を取りにかかり、フセインのほうが様子を見ているといった感じだ。いまひとつ、動きのバランスの悪いラリオスは、手数こそ出すものの、クリーンヒットをとることができない。逆にフセインはラリオスのパンチをほぼ完璧にガードして、反撃の機会を狙っているように見える。第8ラウンドに入ると、フセインが前に出はじめる。ここまで受けに回っていたが、プレッシャーをかけながらの打ち合いに転じた。ラリオスは手数で受け止めるが、足がもつれてスリップダウンする場面も幾度か見られた。が、基本的に手数を出して攻勢をとっていたのはラリオス。ひたすらかわしながらチャンスを狙っているフセインにはポイントがいっていないはずだ。最終ラウンド、お互いに決め手を欠きながら時間は経過し、試合終了。判定でラリオスの勝ち。

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