TAKAHASHI FS-60C

2006.01.29.
2006.01.27.

タカハシ製の6cmフローライト2枚玉。焦点距離355mmでF5.9のアポ屈折。末尾にCが付くのはCompactの意味で、他のFSシリーズがF8なのに対し、FS-60CはF5.9と明るいのが特徴。
ブレイクしたのはデジカメ用として、使いやすい焦点距離とハンドリングよさ、そしてBORGのEDレデューサ7885との相性がよかったからだろう。

タカハシFS-60C:  6cmクラスの鏡筒が面白い。低価格でアポが買えるし、焦点距離もデジカメにとってちょうどい長さだ。
私も遅ればせながら先日購入。
純正のフラットナーが発売されたので、用途に幅が出たと判断したからだ。
レデューサーはBORG 45ED用としてすでに購入していたので、それを使えば、f=300mm/F=5.0に、純正フラットナーを使えばf=374mm/F=6.2の鏡筒となる。
APS-Cのデジカメにおける374mmは、35mmフィルム換算で500mm相当なので、日食や月食などの撮影にちょうどよい長さといえる。
そしてコンパクトな鏡筒は海外遠征にピッタリだ。
そんなわけで3月の皆既日食に持っていこうかと画策しているところである。

小型鏡筒はバランスを崩しやすい。特にカメラ側が重く、リアヘビーになりがちだ。純正鏡筒バンドはバンド位置をずらすことで対処している
ドローチューブはこのクラスではかなりガッチリとしたつくりで直径は6cmもあり重さもそれなり。パーツやカメラを付けるとかなりのリアヘビーになる。
そのため、純正の鏡筒バンドはプレート接続部と鏡筒バンド部にオフセットが設けられ、バランスを取りやすいように考慮されている。
ドローチューブの繰り出しは最大30mm(もう2cm欲しかった!)。

■7885レデューサー使用時

FS-60Cヒットの秘密、BORGの×0.85レデューサー[7885]と、BORGのパーツ群。この状態でピントが出る。
構成は[7911]+[7603]+[7352]+[7885]+[5005]
[7885]レデューサは0.85倍なので、合成焦点距離は300mmになる。
デジカメのAPS-Cで300mmは、6×9中判カメラにおける1000mmmとほぼ同じ写野だ。
つまり、ちょっと前まで天文誌のフォトコンを賑わせていた「中判カメラ+FS-128(f=1000mm/F8)」で撮影する画角と同じなのだ。
M31アンドロメダ大星雲や北アメリカ星雲のクローズアップ、M42オリオン大星雲やM45すばる、カリフォルニア星雲などもバッチリ撮れる、実に面白い焦点距離になる。

この[7885]を使うためには、BORGの標準規格である“M57”にコンバートしなければならない。

話が逸れるが、BORGのパーツリストを見ていると“リング地獄”といわれるくらいパーツや規格が多い。ここで恐れを成してしまう人が多いようだが、BORGのリング類は無秩序にいろんな規格が飛び交っているわけではない。
とりあえず覚えておくことは「M57に持っていければ勝ち」ということ。
M57にしてしまえば、あとは何とでもなる。BORGパーツの多くはM57で接続するようにできているからだ。
BORGからは、各メーカーの鏡筒をM57に変換するためのアダプターが用意されている。FS-60Cの場合は、[7911]がこれに該当する。
BORGのいいところは、他メーカーの鏡筒でもBORGパーツが使えるように配慮していることだ。だから、一度BORGのアクセサリを購入したら、他の鏡筒を購入したときも使えるし、M57のパーツアクセサリが増えれば、全ての鏡筒が同時にパワーアップできる。

さて、[7911]の後ろはバックフォーカス分の長さを稼ぐため、2インチ延長筒で3〜4cm伸ばす。自分はM57/M60延長筒M[7603]を使っている。また、[7603]に似て異なるものとして、2インチホルダーM[7505]があり、こちらでもよい。
なお、自分は使っていないが、この4cm程度の長さを利用して、間にフリップミラーを入れるといったアイデアも考えられる。
その後ろは、2005年12月に発売されたばかりのM57回転装置[7352]を使ってみた。縦位置、横位置を自由自在にキメるためには回転装置は必須のアイテムだ。
しかし、回転するがゆえ、ガタが出やすいパーツでもある。[7352]はその点、フリクションも大きく、かなりしっかりしていると感じられる。
回転装置の次は[7885]レデューサを取り付け、各メーカー用のカメラマウント[500x]を接続して終わる。
FS-60CとBORGパーツをバラバラに購入してもいいが、スターベースからはFS-60Cと[7885]のセットがデジカメ用として発売されているので、そちらを選ぶのも手だ。

レデューサー使用時、ドローチューブ端点から[7885]まで73mm(実測)のときに合焦。

■純正フラットナー使用時

FS-60C用フラットナー(左)とワイドマウント(右)。フラットナーの鏡筒側(写真上側)はM56メス、カメラ側はM52オス
デジカメでの特性を考慮したフラットナーやレデューサーが純正品ではなかったので、上記の[7885]を使うのがセオリーとされていたのだが、ようやく純正品が用意された。
フラットナーといっても若干だが焦点距離が伸びるため、厳密にはテレコンバーターといえる。
中判カメラでは1120mmに相当するため、直焦点でもかなりのクローズアップとなる(125SDP+1.4テレコンバータとほぼ同じくらい)。

純正フラットナーは、ドローチューブに直接ねじ込むようになっているため、BORGのパーツが使えない。
実はこれで今は困っている。フラットナーやレデューサーのような補正光学は、“フィルム(CCD)面との距離が固定である”ということを前提で設計されている。つまり、フラットナーからCCD面までは純正パーツでキメないと設計どおりの光学性能を発揮できず、例えば写野周辺の星像が収差で崩れたりする。
ドローチューブにフラットナー、ワイドマウントを付けた状態。ドローチューブの繰り出しは3cmが限界。これでは長さが足りず合焦しない。付属のチャート表を見ると、純正回転装置をドローチューブとフラットナーの間に入れるようになっている。何とかBORGパーツは使えないものか…
だから、「フラットナー」→「ワイドマウント」→「カメラ」の組み合わせは絶対であり、これらのパーツ間には回転装置などの他のアクセサリを組み込むことはできない。
よって、ドローチューブとフラットナーの間に何とかしてBORGパーツを入れたいところだが、現時点ではそのようなパーツがない([7911]の“反対”のパーツが欲しい…)。
タカハシ純正の回転装置を買えばのだが、どうするかは今後の課題。

ちなみに上記組み合わせではピントが出ない(長さが足りない)。
純正の回転装置をとりつけてピントが出る設計のようだ。



■純正フラットナー使用レポート[2006.01.29.]

どうしようかと考えていたのだが、早く使ってみたいことだし、純正の回転装置を購入してファーストライトを行ってみた。
純正の回転装置は、M56メス→M56オスなので、ドローチューブとフラットナーの間に挟む形で使う。

フィルター類は、52mm径がドローチューブにちょうどよく入る。フラットナーとは干渉しないので問題ない。
この状態でドローチューブの繰り出しは23mmで合焦した。

タカハシ純正回転装置。剛性も高く、性能面では全く問題ないのだが、ここまでくると6cmクラスにしては重い…。海外遠征用なのでBORGパーツで軽量化したいのがホンネ。 ドローチューブに52mm径のフィルターが取り付けられる。よほど分厚くない限り、フラットナーと干渉することはない。
ファーストライトのわし星雲(IC2177)。EOS Kiss Digital/ISO800/露出10分×4。中心と四隅の星像を200%で掲載(リンク先本画像)。
手抜きコンポジットと偽色で恒星の形が崩れているところもあるが、そこはご容赦!
星像はご覧のとおり。クローズアップ部分は写野の四隅を200%表示したもの。4枚コンポジット+画像処理後であるため、コンポジットのズレや偽色がやや強調されているが、気になる収差や青ハロはなく、周辺まで落ち着いた星像といえる。
また、周辺減光は少なくともAPS-Cサイズではないといってよいだろう。もちろん全くないわけではないが、少なくとも私の旧Kiss Digital改では、周辺減光が目立つほど強い画像処理をかけていくと、その前にノイズが原因で画像が破綻してしまう。

デジタルにキッチリ対応させてきたのはさすがタカハシ。
BORG[7885]レデューサもあれば、FS-60Cは2つの焦点距離でデジタル撮影を楽しめる小型フローライト鏡筒なのだ。この夏はいろいろなパターンで散光星雲の撮影を楽しめそう。

上にも書いたとおり、中判銀塩と同サイズ写野で比較すれば、
FS-60C + BORG[7885] = FS-128
FS-60C + フラットナー = PENTAX125SDP + X1.4テレコン
なのである。しかも作例のようなわし星雲を写すためには2時間の露出は必要だった。
それが小型の赤道儀で露出10分程度で同じかそれ以上のクオリティの作品が撮れてしまうのだから、やめられない。

今度は冷却CCDでもチャレンジしてみたいと思っている。小型屈折のハンドリングのよさと自由度の広さはモチベーションアップにつながる。




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